- これから東京便に乗るところ。悪意をどれほど受けたとしても、受け止めることのできる解脱を目指したい。悪意の向こう側は悲しみだから、ということもあるし、自分こそ悪意の人である、ということでもある。
- 母親は二十年近く入退院を繰り返していたが、長い長い体調不良に精神が切れてしまい、病院で怒りを爆発させて暴れまくった。体の半分しか使えないのに寝たまま父親のネクタイを掴んで引きずり回し、新しい担当医に暴言を叫び、かかりつづけていた病院を追い出される。
- 人は死に向かって追いつめられた時には醜く暴れる、悪魔のように。人は弱い。優しく笑っている顔しか覚えていない母親の崩壊した姿を見るのは辛かったが、神は現実を示す。穏やかに静かに最期を迎える白っぽい老人、というのは生き残る側に都合のいい商業映像のようなものだろう。
- きっと自分も悪魔のように崩れて死んでしまうのだろう。もうすっかり年を取ってしまい、あの小太りの医師のように憤慨して頬を膨らませることができない。子供のように憤慨できない。医師は母親の暴力の被害者だが、ぼくは母親の側に立っているのだろう。正義の側ではなく。
- 地方空港というのは必ず知人に会う場所なのだ。スーツ姿の若い人に挨拶された。去年授業に出ていた学生の彼は、都内の企業を受けに行くところ。これからの人はまっすぐ歩いていく。自分は少し向かい風が辛くなって斜めに歩き始めた。
Powered by t2b
0 件のコメント:
コメントを投稿