- 「看護師さんは若いオイラにポツリと言ってくれた。「でもアタシは人間だから、受け入れてくれなくったって手を差し伸べ続けるわよ」」
- 日暮れ時に海辺のスーパーでオレンジやヨーグルトを買い込んでいると、ベビーカーの赤ちゃんが言葉にならない声で話しかけてくる。白いシャツのお父さんがベビーカーを押している。赤ちゃんと暮らす幸せはもう自分には二度と訪れないが、他の人たちが幸せを引き受けるのだと思うと嬉しくなる。
- 久しぶりに平均律を聞き比べる。いつも思うことだが、「人類の進歩」という語が似合う自信に満ちたリヒテルの862を今日も聞いてしまう。だがこの暗さは本当に自信なのだろうか。かつて自分は不安だった。だから髪が黒々としていた頃は正義の気持で人を傷つけた。
- 悪事を償い続ける後半生だ。だが、「ああ、人を傷つけなければよかった」と悔いるべきだろうか。満ち潮の後に引き潮が来る。黒山羊から白山羊、そして再び黒山羊に手紙は行き来する。悪人、善人、悪人のソナタ形式。結局どうあがいてもそんなものなのではないだろうか。
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