- 音楽に感動してもわだかまりは解消されず、重い身体を引きずって朝から焼けている車に乗り込む。青系のシャツを着ると気持ちが沈み込んでしまう。赤か黄色の縞が入っていないと駄目。調子が悪いのは昨日樅の樹を切り過ぎたからに違いない。細く筋状に葉っぱが残っているだけで死にはしないだろうか。
- 外科医も、しまった、あの患者のあれは切り過ぎた、と朝悔やんだりすることがあるのだろうか。仕事だからフラットな表情で気持ちが外に出ないように消す。空は細い糸が散っているような雲。台風のおかげで空気が澄んでいて火山の山肌の折り重なる石や溝が写真のように鮮明に見える。
- わざと遠回りして逆方向から仕事場に向かう。廃業したガソリンスタンドが並んでいるあたり。江戸明治からやってます、に見える塩屋の敷地のあたりで国道に出る。ぐにゃぐにゃした松の木。赤ちゃんを抱えて信号待ちしている女の人がただならぬ顔をしている。田舎にいると、心を捨てろ、と言われるのか。
- 心を捨てる、という田園の憂鬱のルールに傷つき、東上の志を持つ。村上春樹のあれは都会的なクールではなくてどうも田舎臭い。そう感じる理由はこの辺にあるのだと思う。また口汚くなってきた。こんなことを考えても国道の赤ちゃんの幸せの度合いが増すわけではないからやめておこう。
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